2006年07月17日

「通貨の番人」福井俊彦日銀総裁は何をしてきたのか?

村上ファンドに投資した日銀福井総裁の責任問題は、このままでは追及しきれないまま、うやむやな形で収束してしまいそうです。
報道の熱が冷めたところ、改めて彼の責任について考えてみる必要はないでしょうか。
私たちATTAC Japan(首都圏)は、下記の声明を発表することにしました。



日本経済の「通貨の番人」ともいわれる日銀総裁の正当性が疑われる事件が起こりました。

証券取引法違反の容疑で逮捕された村上世彰氏が率いる村上ファンドに日本銀行の福井俊彦総裁が、ファンド設立当初に1000万円を出資、6年間で1.5倍もの運用益を上げ、村上氏への捜査のうわさが広がっていた2月に投資契約を解除していたという事件です。

通貨は「経済活動の血液」といわれるように、私たちの生活にとって重要なシステムです。今回の事件は、この通貨をコントロールする巨大な権限を握る日本銀行の総裁が起こしたという点において、大きな問題があります。

また小泉構造改革のもとで、規制改革・民間開放推進会議の議長を長年つとめ規制緩和推進のモーターとなってきた宮内義彦オリックス会長が、後ろ盾として村上ファンドを支え、今回の福井総裁の出資の件では、村上ファンドの事業実務を取り仕切ってきたことが明らかになっています。

福井総裁の道義的責任を問う世論が高まっている一方で、小泉首相を筆頭に政府、与党、財界からは「問題なし」「辞める必要なし」との声が数多く出されています。また宮内氏に対する国会参考人招致についても自民党から「必要なし」の声があがっています。どうやら、現在の日本の政治と経済をリードする権限をもつ人々の価値観は、庶民とはかけ離れたところにあるようです。

福井日銀総裁、宮内会長、そしてその後ろ盾として規制緩和を進めてきた小泉首相をはじめとする政府・与党など、今もなお彼らを支え続けている政財界のトップエリートたちは、いったいどのような社会を作り上げようとしているのでしょうか。小泉構造改革の柱になってきた規制緩和はいったい誰のためだったのでしょうか。規制緩和は、私たちに本当に豊かさをもたらしたのでしょうか。

2001年4月に誕生した小泉政権は、96年の金融ビックバンを本格的にすすめるために、「貯蓄から投資へ」というスローガンのもと、金融市場の規制緩和を進め、多くの個人投資家を市場に呼び込むための法改正を行ってきました。しかし、ライブドア、村上ファンドなど、一連の事件で明らかになったように、規制緩和された金融市場とは、権力と財力をもった一握りの人々が「濡れ手に粟」のぼろ儲けができるシステムなのです。

日銀は、1999年から段階的にゼロ金利政策を進め、2001年3月からは金融の量的緩和政策を実施しています。これによって、金融機関や企業などが保有する資金が高利の投機に流れました。また低利の日本円を借りて国内外で資産運用する投資家やヘッジファンドが急増することにもつながりました。それにより村上ファンドのように巨額の運用資金をバックに国内の企業活動に積極的に介入するファンドが本格的に登場する契機にもなったのです。

福井日銀総裁は、このように浮遊する投機マネーを日本市場に引き込む政策を行いつつ、自らも積極的に投機マネーを運用し私的利益を蓄えてきました。このような人物が果たして「通貨の番人」にふさわしいと言えるのでしょうか。

もうひとつ、私たちが見過ごしてはならないことは、福井総裁が出資した村上ファンドは、タックスヘイブン(租税回避)地区として有名なケイマン諸島に資産運用会社を設け巧妙な形で税金逃れを行ってきたということです。当然ながら、福井総裁や宮内会長がタックスヘイブンを駆使した資産運用を知らないはずがありません。むしろ、福井総裁や宮内会長も、投資ファンドに預けられるだけの豊富な資産や権力を持つ者は租税回避をすることが当然であるかのように考えているようです。だれもが村上ファンドに出資をして利益を得ることができるわけではありません。大富豪や政治的権力者など、ほんの一握りの人々しか投資することができないのです。そして庶民には「大増税」が政府から提示されているのが、小泉構造改革の5年間なのです。

私たちATTAC Japanは、福井総裁が「通貨の番人」である日銀総裁の資格を喪失したと考えます。宮内会長は政府に対する政策提言の資格がないと考えます。
そして、彼ら二人を登用し続け、高所得者、とりわけ金融資産を多く持つ人々を優遇し、所得の低い層に対して増税や福祉や公共サービスの切捨てをつうじて財政赤字の埋め合わせをさせようとしてきた政府与党を改めて強く批判するものです。

 2006年7月14日
ATTAC Japan(首都圏)
posted by attacトービン税部会 at 23:17| Comment(17) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月30日

NHKスペシャル「マネー 思惑の激突」を見て

昨日、NHKスペシャル「シリーズ同時3点ドキュメント」の第一シリーズ第1回として「マネー 思惑の激突」が放映されましたが、土曜日のゴールデンタイムということもあって、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

このドキュメンタリーは、一部上場企業の7割を顧客にもつみずほコーポレート銀行国際為替部、ニューヨークのヘッジファンドで「通貨の魔術師」とも呼ばれているヘッジファンド、そして中国の通貨管理局から転身した香港のヘッジファンドの三者を同時に取材することで、視聴者に大変わかりやすい形でしかもダイナミックに通貨取引の攻防を伝えています。
http://www.nhk.or.jp/special/schedule.html

ドキュメンタリーを通して、いかに外国為替相場が、実態経済からかけ離れた形で動いているかがわかります。モノやサービスの取引(貿易)の状況やその背景としてある各国の経済状況よりも、むしろ変動差益を狙って巨額の資金を動かす投機家同士の駆け引き−それは時に「風説の流布」というだまし合いの様相を呈します−によって通貨の価値が大きく変動しているのです。

ところで、ここ最近の日本国内の問題に目を向ければ、「風説の流布」によって株価を操作しようとしたホリエモンをはじめとするライブドア幹部が証券取引法違反の容疑で逮捕されました。加えて、経済に通じていると言われる論客からは、ライブドアの株価高騰を支えた「企業価値がわからず高値をつける」個人投資家を批判するようなコメントも出されました。

しかし、よくよく考えてみれば、こうしたライブドア問題で問題視されたことは、外国為替市場ではまかり通っているのです。金融の専門家と呼ばれる人々が、自分の利益を目的に実際の価値とはかけ離れた価格で通貨を売買したり、出所のわからないような形でウソの情報を流し自分の狙い通りの価格に通貨を変動させようとしたりしているのです。

では、なぜこのような違いが出てしまうのでしょうか。その理由として、国内の証券取引市場と国際金融市場を比較した場合、前者には証券取引法という国家による規制が存在しルールに違反すれば検察や証券取引等監視委員会が動き違法行為を検挙するのに対し、後者には何の規制も存在しないということに注目すべきではないでしょうか。
そして規制がないがゆえに、ごく少数の国際金融市場のプレーヤーが、そこに参加できない多くの庶民の生活を犠牲にする形で利益を上げていることも忘れてはなりません。
今回のNHKのドキュメンタリーでは触れられてはいませんでしたが、投機家たちの思惑で異常なまでに為替相場が変動することによって、90年代にアジア・中南米では通貨危機で一国の経済が破綻し、投機家たちの「賭け事」とは本来無関係のはずの多くの庶民が失業と貧困に追い込まれるという事態が発生しました。このようなことが起これば、常識的には社会に対して巨大な損害を与えたヘッジファンドやメガバンクは罰せられる対象になるべきはずなのですが、実際には罰せられるどころか莫大な利益を確保しているのです。

このブログでは、こういった観点からグローバリゼーションの問題に踏み込んで行きたいと思います。

最後に、NHKのドキュメンタリーに話を戻しますと、ドキュメンタリーでは、みずほコーポレート銀行が日本企業の利益を守るために奮闘しているような感じに描かれていますが、みずほ銀行自体が、マネーゲームにおける一プレーヤーであることはふまえておくべきでしょう。みずほ銀行は「為替差益が期待できます」と外貨預金などの金融商品を勧めている側でもあり、そして銀行間の国際競争において、通貨取引で巨額の利益をあげている英米系のメガバンクを後追いする立場であるもあるのです。


posted by attacトービン税部会 at 01:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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